イエメンにおけるペルシャ支配の終焉
その後、ワハリズとペルシャ人はイエメンに居住し、今日、イエメンにいるアブナア族は、ペルシャ軍の生き残りの子孫である。アルヤートの侵入から、ペルシャ人の手によるマスルーク・イブン・アブラハの殺害と、アビシニア人の追放に至るまでの、アビシニア人のイエメン支配は七十二年間にわたった。継承した王子たちは四人で、アルヤート、アブラハ、ヤクスーム、マスルークである。
イエメンのある岩には、昔にまでさかのぼる碑文が書かれている、と伝えられている。
「ズィマールの王国はだれに所属する。
高潔なヒムヤルに。
ズィマールの王国はだれに所属する。
邪悪なアビシニア人に。
ズィマールの王国はだれに所属する。
自由なペルシャ人に。
ズィマールの王国はだれに所属する。
商人のクライシュ一族に」。
ズィマールとは、イエメンあるいはサヌアのことである。
サティーハと彼の仲間の予言が成就したとき、カイス・イブン・サアラバの一族のアルアーシャーは次のように詠んだ。
「いかなる女も、アッズィービーが予言するような真実を予言したことはない」。アラブは、サティーハがラビーア・イブン・マスウード・イブン・マーズィン・イブン・ズィーブの息子であったことから、アッズィービーと呼んでいる※。
※伝承によればヒムヤルの王、ハッサーン・イブン・ティバーン・アスアドが、ジャディースを征伐するためヤマーマに遠征したとき、ジャディースにヤマーマという名の、三日行程先の人々を透視することができる女予言者がいた。彼女が敵の来襲を三日前に予告したにもかかわらず、それを信じなかったので、ジャディースはヒムヤル軍に滅ぼされた。百四十年先の未来を予言したアッズィービーはそのような女予言者よりも優れていた、という意味。