2012年12月15日土曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(118)

アラブの占い師、ユダヤ教のラビ、キリスト教の修道士らによる神の使徒に関する報告(2)


 「人間の中には、ジンの一部に庇護を求める者さえあって、かえってジンの傲慢さを増長させている」というコーランの言及に関連して、クライシュやほかのアラブたちは、旅をして谷の底に休んで一夜を過ごすとき、「私は今夜、悪霊から逃れ、この谷の主であるジンのもとに避難します」、と言ったものだった。

 ヤアクーブ・イブン・ウトゥバ・イブヌル・ムギーラ・イブヌル・アフナスが私に語った。「降り注いだ流星を最初に見て恐れたサキーフ族の人びとは、彼らと同族にあたるイラージ族のアムル・イブン・ウマイヤという名の最も明敏かつ聡明な男のところに行き、降り注いだ流星を見たかと彼に尋ねた。彼は、私も流星を見た。もしその流星が、陸と海で旅人を案内し、人間の日常生活を助けるため夏と冬の季節の移り変わりを知らせる、よく知られた星であれば、神にかけて、それはこの世の終わり、世界にあるすべての壊滅を意味する。だが、もしそれらのよく知られている星は安定し、ほかの星が流れるのであれば、それは神が人間に意図された何らかの目的のためである、と答えた」。

 ムハンマド・イブン・ムスリム・イブン・シハーブッ・ズフリーは、アリー・イブヌル・ホサイン・イブン・アリー・イブン・アブー・ターリブから、次の話を聞いた。なおこの話については、アリー・イブヌル・ホサインは、アブドッラー・イブヌル・アッバースから聞き、アブドッラーは、何人かのアンサール援助者から伝え聞いたとされている。神の使徒はアンサールたちに、「流れ星についてあなたがたは何と言っていたか」、と尋ねた。彼らは、「私たちは、王が死んだ、王が任命された、子が産まれた、子が死んだ、などと言っていました」、と答えた。「それはそのような意味ではない。神が主の創造について何かを布告された時、玉座の担い手たちはそれを聞いて主を称賛した。すると玉座の担い手の下にいた者たちも主を称賛し、さらに彼らの下の者たちも、彼らの上位者が称賛したので主を称賛し、それは天国の最下位に称賛が到達するまで続いた。すると今度は、最下位の者たちは互いに、なぜと聞きはじめ、それは上位者たちがそうしたからだと聞かされると、彼らは自分たちの上位者にそれならば、あなたがたの上位者たちに理由を聞けばよい、と言った。やがてそれは最上位の玉座の担い手たちにまで到達し、彼らは下位に向かって神が主の創造について布告されたからである、と答えた。この音信は天国から天国へと、議論を提示した最下位の天国にまで降り、そして悪魔たちがそれを盗み聞きし、その時の状況や誤った知識を混合してしまった。それから悪魔たちは占い師のもとに現れて、時には間違いを、時には真実を語ったので、占い師たちは時には正しく、時には間違ったことを人びとに告げた。そこで神は、流星を投げつけて悪魔たちを締め出されたので、占いも断絶し、今日ではもはや存在しない」、と使徒は語られた。

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