2012年7月2日月曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(59)

ニザール・イブン・マアッドの子孫


 ニザール・イブン・マアッドは、三人の息子、ムダル、ラビーア、アンマールをもうけた。アンマールは、カスアムとバジーラの父である。

 神の使徒の系譜によれば、マアッドはアドナーンの息子(マアッド・イブン・アドナーン)であり、神の使徒が所属するクライシュ族はアドナーン(北方)系の部族だった。

 バジーラの子孫でバジーラ族の族長、ジャリール・イブン・アブドッラル・バジャリについて、ある詩人は詩を詠んだ。

「ジャリールがいなければ、

バジーラ族は滅びよう。

 バジーラ族は不運な部族であるが、

 彼はすばらしい男である」。

ジャリールは、アルフラーフィサル・カルビーに抗議して、アルアクラア・イブン・ハービスッ・タミーミー・イブン・イカール・イブン・ムジャーシブ・イブン・ダーリム・イブン・マーリク・イブン・ハンザラ・イブン・マーリク・イブン・ザイド・マナートに、

 「おお、アクラア・イブン・ハービスよ、おお、アクラアよ、

 汝の兄弟が征服されれば、汝も征服されよう」、

と訴え、次のように詠んだ。

 「お前たちニザールの二人の息子は、兄弟を助ける。

 私が知っている父は、お前の父だ。

 お前と同盟している兄弟は、今では、征服されないだろう」。

ニザールの子孫たちは、イエメンに行き、そこに定着した。

 ムダル・イブン・ニザールは、二人の息子、イルヤースとアイラーンをもうけた。イルヤースは、三人の息子、ムドゥリカ、タービハ、カマアをもうけた。彼らの母はヒンディフといい、イエメン人だった。ムドゥリカの名前はアーミル、タービハの名前はアムルである。伝えられるところによると、あるとき彼らは、ラクダを放牧させながら狩りをし、座って獲物を料理していると、突然、盗賊がラクダを襲った。アーミルは、アムルに、「お前はラクダを追跡するか、それとも獲物を料理するか」、と聞いた。アムルが、料理を続ける、と答えたので、アーミルはラクダを追いかけて取り返した。二人が帰ってこのことを父親に告げると、彼はアーミルに、「お前はムドゥリカ(追跡者)である」、アムルに、「お前はタービハ(料理人)である」、と言った。知らせを聞いた母親が、テントから小走りに出てくると彼は、「お前はせっかち(ヒンディフ)だ」、と言ったので、彼女はヒンディフと呼ばれるようになった。

 カマアについては、ムダルの系譜を研究した学者は、ホザーア族が、アムル・イブン・ルハイイ・イブン・カマア・イブン・イルヤースの子孫である、と主張している。

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