2012年7月11日水曜日

『予言者ムハンマドの生涯』第一巻(72)

ザムザムの泉の掘削


 アブドゥル・ムッタリブがカアバ神殿のアルヒジュルで眠っているとき、クライシュ一族が犠牲をささげていた偶像、イサーフとナーイラの間のくぼ地であるザムザムを掘るようにとの夢をみた。そこは、ジュルフムがマッカを去ったとき、埋めて行ったところである。それは、イブラヒームの息子、イスマイールが幼いころ、のどが渇いたとき、神が水を与えた泉であった。イスマイールの母は子のために水を探していたが、見つからなかったので、アッサファーの丘にまで出かけていき、イスマイールのために助けを哀願して神に祈った。次に母はアルマルワの丘に行き、同様に祈った。神は天使、ジブリール〔ガブリエル〕を遣わし、ジブリールが地上のある場所をかかとでうがったところ、その場所〔ザムザム〕から水が湧き出た。イスマイールの母は、野獣の叫びを聞き、わが子の身を案じて恐れおののいて駆け戻ると、息子が水を手であごの下にすくって飲んでいるのを目撃した。そして彼女は、息子のために小さなくぼみを掘ってやった。

 マッカにある二つの小さな丘の名。伝承によると、ハージャルは七回、二つの丘の間を走り、最後にアルマルワで神に祈っているとき、天使が現われてザムザムの泉を掘った。二つの丘を走って七回巡ることはマッカ巡礼の一部になっている。

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