2012年7月2日月曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(61)

アムル・イブン・ルハイイの物語と、アラブにおける偶像崇拝(2)


 ヌーホ〔ノア〕の民は偶像を崇拝していた。神は、彼らについて使徒に、「かれらは言います。あなたがたの神々を捨てるな。ワッドもスワーアも、またヤグースもヤウークもナスルも、捨ててはならない。かれらは既に多くの者を迷わせました」(七一章二三、二四節)、と啓示を下された。

 イスマイールの信仰を捨てて、これらの偶像を選び、その名前を祭礼で使用した者の一人が、ホザーイル・イブン・ムドゥリカ・イブン・イルヤース・イブン・ムダルであった。彼は、スワーアを採用し、〔ヤンブー近郊の〕ルハートの地に祭った。クダーア族のカルブ・イブン・ワブラは、ワッドを採用して、ドゥーマトゥル・ジャンダルの地に祭った。

 カアブ・イブン・マーリク・アルアンサーリは、次のように詠んだ。

 「我らは、アッラートと、アルウッザと、ワッドを捨てた。

 我らは、彼らのネックレス、イアリングをはぎ取った」。

 タイイのアヌウムと、〔イエメンの〕ジュラシュの人びとは、ヤグースをジュラシュの地に祭った。

〔サヌアからマッカに向かって二日行程の〕ハムダーンのハイワーン族は、ヤウークをイエメンのハムダーンの地に祭った。

 ヒムヤルの民のズゥーウル・カラーア族は、ナスルをヒムヤルの地に祭った。

 〔イエメンの〕ハウラーン一族は、ハウラーンの地に、ウムヤーニスという名の偶像を持っていた。彼ら自身の話によると、彼らは、作物と牛を、ウムヤーニスとアッラーの間で分けていた。彼らが取りおいたアッラーの分が、ウムヤーニスの取り分に混じると、彼らはそれをそのままにしておいた。ところが、ウムヤーニスの分がアッラーの取り分に混じると、彼らはそれをウムヤーニスに返すのだった。そのような行為をしていたのは、ハウラーン一族の中のアルアディーム族であった。アッラーは、「彼らは、アッラーが創られた穀物と家畜の一部分を勝手な空想によって供えて、これはアッラーに、そしてこれはわたしたちの神々にと言う。だが神々に供えたものはアッラーには達しない。そしてアッラーに供えたものが、かれらの神々に達する。かれらの判断こそ災いである」(六章一三六節)、という啓示を下されたが、これはアルアディーム族にまつわる啓示と思われる。

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