2012年7月2日月曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(68)

アウフ・イブン・ルアイイの移住(1)


 アウフ・イブン・ルアイイが、クライシュの隊商と共に、はるかかなたのガタファーン・イブン・サアド・イブン・カイス・イブン・アイラーンの地に行ったとき、彼は部族から取り残され、クライシュの隊商は彼をおいて去ってしまった、と言われている。サアラバ・イブン・サアド(ズビヤーン族の系譜によれば、サアラバ・イブン・サアド・イブン・ズビヤーン・イブン・バギード・イブン・ライス・イブン・ガタファーンと、アウフ・イブン・サアド・イブン・ズビヤーン・イブン・バギード・イブン・ライス・イブン・ガタファーンは兄弟となっている)は、アウフ・イブン・ルアイイに会い、彼と盟約して、彼に妻をめとらせ、彼を部族の義兄弟とした。ズビヤーン族の間では、アウフとの関係はよく知られるようになった。取り残されて、クライシュに見捨てられたアウフに、サアラバは次のように詩を詠んだ、と言われている。

 「あなたのラクダを私のそばにつなげ、おお、イブン・ルアイイよ。

 あなたの部族は、あなたを見捨て、あなたには家がない」。

 ガタファーンはヒジャーズ地方で強大な勢力を誇った部族連合。

 ムハンマド・イブン・ジャアファル・イブヌッ・ズバイルか、あるいはムハンマド・イブン・アブドッ・ラハマーン・イブン・アブドッラー・イブン・ホサインだったかも知れないが、私に語ったところによれば、ウマル・イブヌル・ハッターブは、「もし私がアラブのいずれかの部族に所属すると主張するのならば、あるいはいずれかを我らに結びつけたいとするのならば、私はムッラ・イブン・アウフの部族に属すると主張したいものだ。我々は、彼らのなかに我々のような人々がいることを知っている。また、我々はあの人がどこに行ったかも知っている」と、アウフ・イブン・ルアイイを意味しながら、語った。ガタファーンの系譜では、彼は、ムッラ・イブン・アウフ・イブン・サアド・イブン・ズビヤーン・イブン・バギード・イブン・ライス・イブン・ガタファーンのことである。この系譜に関してアラブは、「我々は、否定しないし論争もしない。それは我々の最も価値ある系譜である」、と言う。

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