2012年7月2日月曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(67)

サアマの物語


 サアマ・イブン・ルアイイは、ウマーンに行き、そこにとどまった。伝えられるところによると、兄弟けんかの末にサアマがアーミル・イブン・ルアイイの目を打ったので、アーミルの復讐を恐れて、彼はウマーンに向かった。また、ある話によれば、サアマの乗っていた雌ラクダが草をはもうとして頭を下げたとき、蛇がラクダの唇にかみつき、横倒しになった。さらに蛇はサアマをかんだので、彼は死んだとされている。死が迫ったとき、彼は次のように詠んだという。

 「目よ、サアマ・イブン・ルアイイのために泣け、

 蛇がサアマの足に巻きついた。

 サアマ・イブン・ルアイイのような

ラクダの犠牲者を見たことがあるか。

 カアブとアーミルに伝えよ、

 私の魂は彼らを懐かしむ、と。

 私の家はウマーンにあるが、

 私はガーリブの息子で、貧困のために出たのではない。

 酒杯を何杯もあふれさせた、おお、イブン・ルアイイよ、

 死を恐れて、さもなければあふれさせることはない。

 お前は死を免れようと望む、おお、イブン・ルアイイよ、

 しかし、誰にも死を逃れる力はない。

 多数のラクダは夜の旅で、お前がひざまずかせれば静かになる、

 大いなる努力の果てに」。

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