アウフ・イブン・ルハイイの移住(2)
ムッラ・イブン・アウフの部族の一人、アルハーリス・イブン・ザーリム・イブン・ジズィーマ・イブン・ヤルブウが、アンヌーマーン・イブヌル・ムンズィルから逃れて、クライシュと結託したとき、次のように詠んだ。
「私の部族はサアラバ・イブン・サアドではない、
長髪のファザーラ族でもない。
もしお前が聞かねばならぬのなら、私の部族はルアイイである。
マッカで彼らはムダルに戦いを指揮した。
我らに最も近い親族と家族を離れて、
バギード族に従うとは、愚かであった。
水を求める者にとってそれは愚かなことだった、
飲み干しておいて井戸を捨て、蜃気楼を追いかけるとは。
自ら進んで彼らと行動を共にすべきとは、いまいましい、
牧草を求めてあちこちさまよい、見つからないとは。
クライシュのラワーハは、私を彼のラクダに乗せた、
そして見返りを求めなかった」。
サハム・イブン・ムッラの部族の、アルホサイン・イブヌル・ホマームル・ムッリーは、アルハーリス・イブン・ザーリムに反論し、自分はガタファーンに属すると主張して、
「見よ、お前は我らの一族ではない、我らはお前たちとは何の関係もない。
我らはルアイイ・イブン・ガーリブとの関係を拒絶する。
我らは誇り高きヒジャーズの高原に居住するが、
お前たちは二つの山の間の緑の平地に住む」、
と、二つの山の間〔すなわちマッカ〕に住むのがクライシュ一族であることを意味して、詩を詠んだ。後になってアルホサインは、自分の詩を後悔して、アルハーリス・イブン・ザーリムの言葉が真実であると認めた。彼は、自分がクライシュに属すると主張し、自分の過ちを自ら非難して、
「私はかつて言ったことを撤回する、
それはうそつきの語る言葉であった。
私は二枚舌を使っていたのであろう、
一方は虚言で、もう一方は虚栄という。
我らの父祖はキナーナ族で、彼の墓はマッカにある、
山の間の緑の平地アルバトハ※にある。
我らは聖域の四分の一を遺産として所有し、
平地の四分の一をイブン・ハーティブ家が所有する」、
と、ルアイイの息子が、カアブ、アーミル、サアマ、アウフの四人であることを意味して、詩を詠んだ。
※カアバ神殿はマッカのワーディー(涸河)の最も低い場所に建てられており、神殿周辺の平地をアルバトハという。ここに定住したクライシュは、最も有力な部族で、クライシュッ・ビターハ(平地のクライシュ)と呼ばれ、神殿から離れた谷間や高地に定住した支族、同盟者は、クライシュッ・ザワーヒル(周辺のクライシュ)と呼ばれた。
0 件のコメント:
コメントを投稿