2012年9月2日日曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(92)

ザムザムの掘削(3)


 これは、アリー・イブン・アブー・ターリブによるザムザムの物語として、私が聞いたことである。また私は、アブドゥル・ムッタリブがザムザムを掘るように命じられたときのやりとりに関して、次のように伝え聞いた。

 「水晶のように澄んだ豊かな水のために祈れ、

 彼らが崇拝する聖域で神の巡礼に提供する水のために、

 水がある限り恐れるものはなにもない」。

これを聞いたアブドゥル・ムッタリブが、クライシュ一族に、「私はあなたがたのためにザムザムを掘るよう命じられたのだが」、と言うと、クライシュたちは、「だが、それはどこにあるか言われたか」、と尋ねた。彼が、「それは聞かされなかった」、と答えると、彼らは彼に、「夢を見たところにまた戻って眠れば、もしそれが本当に神のお告げであるならば、それがどこにあるか明確にされるだろうし、もしそれが悪魔であれば戻っては来ないであろう」、と言った。そこでアブドゥル・ムッタリブが、夢を見たところに戻って眠ると、次のようにお告げを受けた。

 「ザムザムの泉を掘れ、それはそなたの希望を裏切ることはない、

 それはそなたの父のときから永久にそなたのものである。

 それは、決して欠乏することも、枯れることもない、

 それは、巡礼の集団に水を提供する、

 ダチョウが友を集めるように、

 かれらの声を神は最も慈愛深く聞き給う。

 過ぎ去った日々以来、最も確実な契約である、

 そのようなものをそなたは見たことがない、

 それは、汚物と血肉の間に横たわっている」。

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