2012年8月6日月曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(83)

クサイイ・イブン・キラーブは、いかにしてマッカの実権を握ったか、彼はいかにしてクライシュを団結させたか、そしてクダーアが彼に与えた支援について(4)


 リザーハ族が彼の領土に定着すると、神はリザーハとホンの部族の子孫を繁栄させられた。(彼らは今日のウズラの二つの部族である)。リザーハが領土に戻ると、リザーハ族と、クダーア一族のナフド・イブン・ザイドの部族とハウタカ・イブン・アスラムの部族の間で争いが起きた。リザーハを恐れて、彼らはクダーアの地を離れてイエメンに行き、今日までイエメンに残っている。ところがクサイイは、リザーハと親族関係にあったにもかかわらず、彼が支援を要請したときにクダーア一族が善意を示してくれたことから、クダーアに好意を抱き、彼らが自らの土地で子孫を繁栄させて団結してほしいと望んでいた。クサイイは、リザーハがクダーアの民にしたことを嫌って、次のように詩を詠んだ。

 「誰か我からリザーハに言ってくれ、

 我は二つのことで彼を責めると、

 我はナフド・イブン・ザイドの部族のためにお前を責める、

 なぜならお前は、彼らと我の仲を裂いたからである、

 そしてハウタカ・イブン・アスラムのためにお前を責める。

 彼らに不義を行う者は、我に不義を行う者である」。

 クサイイが年老いて衰弱すると、彼は息子のアブドッ・ダールに話した。彼は長男だったが、クサイイが生きている間、アブド・マナーフが有名になり、アブドゥル・ウッザとアブドと共に、なすべきことすべてを行っていた。クサイイは、アブドッ・ダールに、「我が息子よ、神にかけて、私はお前をほかの息子たちと同等の地位に就けよう。彼らはお前よりも大きな評判を得ているが、お前が彼らのために開けるまで誰もカアバに入ることはない。お前がお前自身の手で与える以外、誰もクライシュに軍旗を与えることはない。お前が許さない限り、誰もマッカで水を飲むことはない。お前が給食しなければ巡礼が食することはない。そしてお前の家以外で、クライシュがいかなる問題をも決定することはない」、と言った。クサイイは、自分の家を彼に与え、そこはクライシュがあらゆる問題を解決できる唯一の場所となり、クサイイが言及したすべての公の権威は彼に相続された。

 リファーダとは、祝祭の度にクライシュ一族が、彼らの財産からクサイイに支払う税金であった。クサイイは、この税金で、自分たちの糧食を賄えない巡礼たちに給食していた。クサイイは、クライシュ一族の間では、この税金の支払いを義務とし、「皆は神の隣人、神のカアバと聖域の民である。巡礼は神の客人、カアバへの訪問者であり、皆の気前のよさを請求する最も正当な権利を有している。だから巡礼の期間中、彼らがこの地を去るまで、彼らに食物と水を提供しなさい」、と言った。そこで彼らは毎年、家畜に課された税金をクサイイに払い、各地からやってきた巡礼者たちがミナに滞在している間、クサイイは、彼らに食を提供し、そして彼の民は、イスラームが到来するまでの無知〔ジャーヒリーヤ〕の時代、彼のこの命令に従っていた。イスラームの時代となってから今日に至るまで、毎年、巡礼が終わるまでミナで食を提供しているのはスルタンである。

 私の父、イスハーク・イブン・ヤサールは、このクサイイに関する出来事と、彼の権限の委譲に関して、私に語った。「アルハサン・イブン・ムハンマド・イブン・アリー・イブン・アブー・ターリブは、このことを、ヌバイヒ・イブン・ワハブ・イブン・アーミル・イブン・イクリマ・イブン・アーミル・イブン・ハーシム・イブン・アブド・マナーフ・イブン・アブドッ・ダール・イブン・クサイイという名のアブドッ・ダールの子孫と話した。アルハサンは、クサイイは、彼の民に対して持っていたすべての権限を委譲した。クサイイは、矛盾したことも、また彼の決定が覆されたこともなかった、と語った」。

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