2012年11月3日土曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(105)

アブドゥル・ムッタリブの死と惜別の詩(2)


 ウンム・ハキームル・バイダーアは、詠んだ。

 「泣け、惜しみなく、そなたの涙を隠すな、

 泣け、気前よく寛大な人のために、

 あふれ出る涙を恥ずかしむな、

 泣け、ラクダを駆った最良の人のために、

 そなたの良き父、甘い水の泉のために。

 寛大なシャイバよ、気高き人よ、

 気質は惜しみなく、気前の良さを称賛される人、

 家族にも惜しみなく与え、人品美しく、

 凶作の年の雨のように歓迎される。

 槍で戦えば彼は獅子、

 彼の女たちは誇らしげに彼を見つめる。

 民の希望が彼にかかっているキナーナの族長、

 邪悪な日々が災厄をもたらしたとき、

 彼こそは戦いが起きたときの人びとの避難所、

 困難と悲嘆のときも。

 泣け、彼のために、悲嘆を控えることなかれ、

 汝が生きる限り、女を泣かせよ」。

 ウマイマは詠んだ。

 「悲しきかな、彼の民の羊飼い、寛大な人が滅びた。

 彼こそは巡礼に水を与えた、我らの名声の守護者、

 彼こそは天幕にさ迷える客人を集めた人、

 天が雨をしぶしぶ降らせたときに。

 汝は、最も高貴な息子たちに恵まれた、

 汝の名声はとどまることなく高まった、

おお、シャイバよ、

 アブル・ハーリスよ、気前のよい人はこの世を去った、

 遠くに行かないで、生ける者ははるかかなたに行かねばならない。

 私は彼のために泣き、生きる限り苦しむ。

 彼の記憶は私が苦しむのにふさわしい。

 神が汝の墓を雨で濡らし給う

 私は彼のために泣く、墓に横たわっている。

 彼はすべての民の誇り、

 いかなる時も称賛に値する」。

 アルワは、詠んだ。

 「私は果てしなく泣いた、

 寛大で謙虚な父のために、

 マッカの谷の陽気な男

 心は高貴で、目標は気高い、

 気前がよく徳にあふれたシャイバよ、

 そなたの良き父に並ぶ者はない、

 武器は長く、優雅で、大きい、

 あたかも彼の額は光で輝くようだった、

 腰は引き締まり、美しく、品性にあふれていた、

 誉れ高く、高貴で、威厳を備え、

 不正に憤り、温厚にして、有能、

 かれの父祖の名声は轟き、

 マーリク族の避難所、フィフル族の泉、

 審判が求められると、彼は最後の言葉を発した。

 彼こそは英雄であった、寛大で惜しみのない、

 そして血が流されるときは勇猛であった、

 武装した男たちが、心うつろに死を恐れたときも、

 彼はきらめく剣をもち前進した、

 すべての民の称賛の的であった」。

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