カアバの再建と使徒による審判(2)
アブー・ワハブは、使徒の父の母方の大叔父であった。彼は、あるアラブの詩人が称賛した気高い人物である。
「もし私が我がラクダをアブー・ワハブの門前にひざまずかせれば、
ラクダは明日にいっぱいになった鞍袋をつけて旅に出よう、
彼はルアイイ・イブン・ガーリブを父祖とする二つの部族の血を引く、
最も気高い人だった、
高貴な系譜をたどってみれば。
不正の受け入れを拒絶し、与えるときには喜んで、
彼の祖先は最も高貴な血統だった。
鍋の下には巨大な灰の山ができ、
彼はお皿を豪勢な肉をのせたパンで満たす」。
クライシュたちは、仕事を分担し、門に近い区域は、アブド・マナーフの部族とズフラ族に割当てられた。(天使ジブリールがイスマイールに授けたと伝えられる)黒石と南壁の区域は、マフズーム族とクライシュの諸部族に割当てられた。カアバの裏は、アムル・イブン・ホサイス・イブン・カアブ・イブン・ルアイイの二人の息子を父祖とするジュマハ族とサハム族に、そしてアルヒジュルの区域はアルハティールと呼ばれ、アブドッ・ダール・イブン・クサイイ、アサド・イブヌル・ウッザ・イブン・クサイイ、アディーユ・イブン・カアブ・イブン・ルアイイの各部族に割当てられた。
人びとは、神殿を解体することを畏れ、そこから退いた。アルワリード・イブヌル・ムギーラは、「私が取り壊しを始めよう」、と言ってつるはしを取って向かい、しばらくの間、「おお、神よ、我々の畏れを取り除きください。おお、神よ、我らは最善のことをなそうとしているだけです」、と唱えた。そして彼は、二つの角の間の一部を壊した。その夜、人びとは、「我らは警戒しよう。もし、彼が災難に襲われるのならば、解体を取りやめ、元の状態に回復しよう。しかし、彼に何も起こらないのならば、神は我らがしていることを喜ばれているのであり、取り壊しを始めよう」、と言って見守った。翌朝、アルワリードが解体作業に戻ったので、人びとも一緒に仕事し、イブラヒームの礎石が現れるまで作業を続けた。彼らはラクダの糞のように連なった二つの緑色の石を見つけた。
一人の伝承学者は、「あるクライシュがてこをその石の間に入れて引き離し、動かしたところ、マッカの全域が振動したので、礎石をそのままにしておいた」、と私に語った。
私は、「クライシュがその礎石の隅にシリア語の記述を発見した」、と聞いている。彼らは、ユダヤ教徒が読んで聞かせるまで、その記述内容の意味を理解できなかった。それには、「余はバッカ〔マッカ〕の主、アッラーである、余は天と地を創造し、太陽と月を形成して、マッカを創造し、それを七人の敬虔な天使で囲んだ。マッカは二つの山がそびえる間にあり、その地の人びとに乳と水の恩恵を授けた」、と記されていた。また私は次のように聞いている。「クライシュたちは、カアバ神殿中のマカーム・イブラヒーム〔イブラヒームのお立ちどころ〕で『マッカは、神の神聖な家であり、それは三つの方向から支えられている。その地の人びとがこの土地を汚す最初の民にならぬように』と書かれた記述を発見した」。
0 件のコメント:
コメントを投稿