象と暦調節師の物語(3)
アブラハは、マッカに向かって進軍し、カスアム〔族の支配地〕というところに至ると、ヌファイル・イブン・ハビーブ・アルカサアミが、その地の二つの部族であるシャハラン族とナーヒス族やそのほかのアラブ族をまとめて、アブラハに敵対した。戦闘でヌファイルは敗北し、捕虜になった。アブラハが彼を殺そうとすると、ヌファイルは、「殺さないでください、おお、王よ、私がアラブの土地で案内役を務めますから。ここに私の二つの腕、すなわちカスアムの二つの部族、シャハランとナーヒスがおり、彼らはあなたの命令に従います」、と言った。アブラハは彼も助けた。
アブラハが、彼を道案内にしてターイフに着くと、マスウード・イブン・ムアッティブ・イブン・マーリク・イブン・カアブ・イブン・アムル・イブン・サアド・イブン・アウフ・イブン・サキーフが、サキーフの一族と共にアブラハを出迎えた。サキーフの名は、カスィーイ・イブヌン・ナービト・イブン・ムナッビヒ・イブン・マンスール・イブン・ヤクドゥム・イブン・アフサー・イブン・ドゥウミー・イブン・イヤード・イブン・ニザール・イブン・マアッド・イブン・アドナーン、と言った。ウマイヤ・イブン・アブー・サルトッ・サカフィーは、次のように詠んだ。
「我が部族イヤードは、近くにいるのだろうか、
あるいは、彼らはとどまっているのだろうか、
彼らのラクダは、やせているというのに。
彼らが進むとき、イラクの広大な平原は彼らものとなる、
また彼らは読み書きもする」。
また彼は、次のようにも詠んだ。
「ルバイナよ、もしお前が私は誰であるか、そして私の系譜を問うのであれば、
確かな真実を聞かせよう。
我らはアンナービト、すなわちカスィーイの父、
マンスール、すなわち我らが父祖、ヤクドゥムの息子に属す」。
彼らは、アブラハに言った。「おお、陛下、我らはあなたの従順で役に立つ召使です。我らはあなたと仲たがいしていないし、我らの神殿であるアラートは、あなたが求めているものではありません。あなたが求めているのは、マッカのカアバで、我々はあなたにそこまでの道案内を付けましょう」。そこでアブラハは、彼らを害することなく、そこを去った。
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