2012年6月5日火曜日

『預言者ムハンマドの生涯』第一巻(30)

ティーバーン・アスアド・アブー・カリブは、いかにしてイエメンを領有し、ヤスリブに遠征したか(5)


 王は、マッカ滞在中に夢を見て、カアバを覆いで隠しなさいというお告げを受けたので、ナツメヤシの葉を織って作った覆いを被せた。王は、また夢を見て、もっと良いもので覆いなさいと告げられたため、イエメンの布地を被せた。三度目の夢を見たとき、王は縞模様の上等なイエメン布地で覆った。伝えられるところによると、ティバーンは、カアバをこのように覆った最初の人である。彼は、カアバの門番であるジュルフムたちに、カアバを清浄に保つよう命じ、聖域で血を流したり、死者や月経中の婦人を入れることを禁じ、そして門とその鍵を付けさせた。

 スバイヤ・ビントル・アハッブ・イブン・ザビーナ・イブン・ジャズィーマ・イブン・アウフ・イブン・ナスル・イブン・ムアーウィヤ・イブン・バクル・イブン・ハワーズィン・イブン・マンスール・イブン・イクリマ・イブン・ハサファ・イブン・カイス・イブン・アイラーンは、アブド・マナーフ・イブン・カアブ・イブン・サアド・イブン・タイム・イブン・ムッラ・イブン・カアブ・イブン・ルアイイ・イブン・ガーリブ・イブン・フィフル・イブン・マーリク・イブヌン・ナドゥル・イブン・キナーナの妻である。彼女は、夫との間にもうけたハーリドという名の息子に、マッカの神聖さを銘記させ、ひどい罪を犯させないように教育するため、マッカでのトゥッバア王の敬意ある行為を語って聞かせた。

 「おお、我が息子よ、マッカでは、ささいな罪も、重大な罪も、決して犯してはならない。

 聖域を守り、世間に迷わされてはならない。

 マッカで邪悪な行いをする者は、最悪の不幸に見舞われる。

 顔はひどく懲らしめられ、ほおは火で焼かれる。

 母は、マッカで悪事を働く者は、破滅することを知っている。

 その地に城が築かれていないにもかかわらず、神はその地を神聖となされた。

 神は、その地の鳥を神聖となされ、サビール山の野ヤギに平安を与え給うた。

 トゥッバアは、そこに害を及ぼさんとしたが、カアバを、刺しゅうを施した布で覆った。

 神は、カアバに主の主権を献上し、主の誓いを成就なされた、

 その庭に天上から裸足で、二千頭のラクダと共に降られて。

 主は、その地の人びとを豊かなラクダの肉で養い給うた。

 また、純粋な蜂蜜と清浄な麦の重湯を飲み物として下された。

 (主は)象の軍団を撃滅し、

 巨大な石を投げつけられて、

 (そして主は破壊された)はるか彼方の彼らの王国を、

 ペルシャでも、ハザールでも。

 その物語が語られるとき、お前は耳を澄まして聞くがいい、

そしてそれらの物語の終わりを理解せよ」。

 サビールはマッカ近郊の山の名。

ハザールはカスピ海の北、ヴォルガ川流域とカザフスタン地方を指す。

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